2015.05.26更新

取引先に多額の売掛金があり,取引先からはいつまでたっても支払ってもらえないという相談がよくあります。商品等の売買取引が1回だけ行われるような取引の場合は,商品の引渡しと売買代金の支払いが同時履行とされることが多いため,売買代金の回収で取引先とトラブルが発生することはほとんどありません。しかし,取引先と継続的に商品を売買するときには,商品の引渡毎に代金の支払いを受けるというのではスムーズな取引ができないので,一定期間内の売買代金については,一定の期日に支払いを受けることとするのが通常です。このような売掛金は,買主の支払能力を中心とする信用の上に成り立っていますが,買主から支払いがないなどのトラブルが発生することもあります。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.05.25更新

相殺は,金融機関にとっては,効果的な債権回収手段ですが,破産手続や民事再生手続などの法的整理手続との関係では,相殺権の行使に制限がなされています。
まず,破産債権者が破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき,破産債権者は当該債務を受働債権とした相殺はできません(破産法71条1項1号)。たとえば,破産債権者が破産管財人から破産財団に帰属する財産を買い受けた場合の代金支払債務などについて相殺ができないのです。この場合に相殺を認めてしまうと,破産手続開始時に相殺に対する合理的期待をもっていたわけではないのに,破産債権者はこのような債務負担・相殺によって対価的な利益を取得することになるからです。
また,債務者が支払不能になった後,破産債権者と債務者との間で,悪意で破産債権との相殺に供する目的で,破産者の財産処分を目的とする契約等を締結してする相殺は認められません(破産法71条1項2号)。これは,例えば,支払不能にあった債務者(のちの破産者)所有不動産を債権者に対して売却させ,破産債権者がその債権と売買代金債務とを相殺する場合が挙げられます。これを認めると,破産債権者は,既に経済的価値を失っている破産債権を有しているにすぎないのに,相殺によって債権の名目額にみあった価値を有する不動産を取得する結果,他の債権者を害する結果となるためです。
このように,債務者の財産の適正かつ公平な清算を目的とする破産法との関係では,抜け駆け的な相殺に債権回収は許されていないのです。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.05.22更新

代理人弁護士から破産の受任通知が送付されてきた場合,受任通知を受け取った者としてはどう対処すべきでしょうか。受け取った際,債務者に対する債権と相殺できる債務がないかの検討が必要です。相殺とは,2当事者間に相対立する債権債務がある場合,対立する債権と債務を対当額で消滅させる行為です。民法上,相殺には,双方の債務が弁済期にあることや債務の性質がこれを許すものであることなど,一定の要件が定められています(これを「相殺適状」といいます。)が,意思表示だけで債権回収できるため,効果的な債権回収手段の一つです。「弁済期が到来していること」に関していえば,例えば,普通預金は預金者がいつでも払い戻しを請求することができるので,常に弁済期にあるということになります。他方,貸金などで分割払いの約定がある場合,取引約定などで支払停止を期限利益喪失約款にしておき,受任通知を受け取った段階で期限の利益を喪失させることにより弁済期が到来し,相殺が可能な状態になります。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.05.22更新

債務者に代理人弁護士が就き,代理人弁護士から受任通知が送付されてくることがあります。このような受任通知は,債務者の任意整理を行うにせよ破産手続等の法的整理手続の申立準備に入るにせよ,個々の債権者がそれぞれに債権取立てを行えば混乱するため,その債権取立てをしないように求めるとの意思表示を含みます。債務者としては従前の約定弁済をしないことを対外的に表示するものであるため,支払停止であると解することができます。金融機関では支払停止は,取引約定において期限の利益の当然喪失事由と定めるのが一般的であるため,このような受任通知がなされたことにより,債務者は期限の利益は喪失し,残債務全額について弁済期が到来することになります。なお,民法は期限の利益を喪失する場合として以下の場合を規定しているところ(137条),取引約定における特約がない場合,支払停止は期限の利益喪失事由ではありませんので注意が必要です。

 

1 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき
2 債務者が担保を滅失させ,損傷させ,又は減少させたとき
3 債務者が担保を供する義務を負う場合において,これを供しないとき

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.05.20更新

保証人は破産した主たる債務者の消滅時効を援用して債務を免れることができるでしょうか。前提として保証人は主たる債務の消滅時効を援用することができます。ただ,このことは主たる債務者が破産免責を受けた場合にも妥当するのでしょうか。そもそも破産免責決定を受けると消滅時効は進行するのでしょうか。この点について,判例は,免責決定の効力を受ける債権は,債権者において訴えをもって履行を請求しその強制的実現を図ることができなくなり,もはや民法166条1項に定める「権利を行使することができる時」を起算点とする消滅時効の進行を観念することができないから,保証人は主たる債務の消滅時効を援用することはできないとしています(最三小判平成11・11・9民集53.8.1403)。

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2015.05.20更新

個人である債務者が破産した場合,連帯保証人にも請求はできないのでしょうか。個人である債務者が破産した場合,破産・免責手続で免責許可の決定を受けると債務者は弁済の責任を免れます。ここで免責(責任を免れる)とは債権が消滅するのではなく,自然債務になるという意味と解されており,自然債務とは債務者が任意に弁済すれば債権者はこれを受領できるが,債権者からは請求はできないという状態になるのです。そこで,免責を受けても債権が消滅したわけではないので,債権者は連帯保証人に対して請求することができるという結論になるのです。また,債権者側からみても保証とはまさに債務者の破産のような場合に備える制度ですから,この結論は妥当ともいえるのです。

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2015.05.18更新

時効期間が経過した場合,経過時点で権利が自動消滅するのではなく,当事者が時効を援用する必要があります(つまり,時効を使うか使わないかを当事者意思に委ねたのです。)。しかし,時効完成後でも時効の完成を知ったうえで債務者が債務承認をすると,完成した時効の中断とはなりませんが,時効利益の放棄があったものとされ,債務者は時効援用権を喪失します。 また,時効の完成を知らずに承認した場合であっても,債務者は時効の援用をできなくなることが多いと言えるでしょう。なぜならば,このような場合は,債権者は時効の援用をしないと信頼する(信義側)ことが多いからであり,かかる援用を認めるのは信義側違反になるからです。

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2015.05.18更新

時効の管理において最も重要なことは,時効の中断による時効管理です。時効の中断事由が生じたときは,時効は中断事由が終了したときから再度進行することになります(民法157条1項)。
債権管理・時効管理で実務上最も重要な時効中断事由は,債務者の承認です。すなわち,債務者の債務の全部または一部の弁済は,債務の存在を前提にしているため,債務の承認にあたると解されています。したがって,債務の弁済がなされている限り時効は進行しないのであり,時効の管理が必要になるのは,債務者からの弁済がなくなってしまってからということになります。仮に,連帯保証人からの支払いが行われても,債務者自身からの弁済が止まってしまっている場合は,消滅時効が進行しますので,時効中断措置が必要となります。中断措置としては,弁済を約する旨記載された債務承認書等に債務者自身に残債務額と署名押印をしてもらえれば,その債務承認書の作成が債務者の承認にあたるため,時効中断事由となるでしょう。
債務者から債務承認書等の書面を徴求できない場合は,訴訟提起(民法147条1号・裁判上の請求)や競売申立(民法147条・差押え)等の手続きをとることが必要です。なお,時効完成直前になって中断する必要がある場合,催告という手続をとれば催告から6か月以内に裁判上の請求等の措置をとることにより,時効の完成を免れることになります(民法153条)。

 

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2015.05.18更新

民法上の債権には消滅時効があり,その時効期間については,法律でさまざまな時効期間が定められています。一般的な債権の時効期間は10年(民法167条1項)ですが,金融機関の貸付金については,会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は商行為である(会社法5条)ため,商事消滅時効である5年の時効期間が適用されます(商法522条)。なお,信用金庫は,商法上の商人にはあたらない(最三小判昭和63.10.18民集42.8.575)ため,信用金庫の取引先が商人や会社である場合は5年,そうでなければ10年の時効期間が適用されます。株式会社である銀行の融資の場合は,商行為になるので融資先如何にかかわらず消滅時効は5年になります。

 

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2015.05.18更新

債権の消滅時効は,「権利を行使することができる時から進行」します(民法166条1項)。したがって,弁済期の翌日が消滅時効の起算日となります(なお,翌日から起算するのは初日不算入の原則があるからです。)。割賦払いの約定がある場合,各割賦払い金の弁済期から,一括弁済の場合はその弁済期から,それぞれ消滅時効が進行することになります。なお,貸金につき割賦弁済の約定をした場合,期限の利益を喪失したような場合にはその全額の請求ができることになるため,その喪失の翌日から時効は進行します(判例)

 

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