2015.06.24更新

遺言公正証書の年間作成件数が2014年に初めて10万件を突破したとのニュースがありました。日本公証人連合会の調べによると、遺言公正証書は1971年には1万5000件、1980年は約3万件、2000年は約6万件であり、この間明らかに遺言公正証書は増え続けています。これは、高齢化が急速に進んでいることに加え,核家族化や事実婚に代表されるように家族の形態が多様化したため、法律の規定とは異なる相続を望む人が増えているということも背景にあるのではないでしょうか。社会には、たとえば、「夫婦には子供がいないが、仲の悪い兄弟には財産を渡したくない。」とか「近くに住んで面倒をよく見てくれた次女に他の兄弟姉妹よりも多くの財産を相続をさせたい。」とか「内縁の妻に財産を残したい。」とか様々なニーズがあるので、遺言公正証書がこのようなニーズに応えているようです。なお、今後も遺言公正証書のニーズは増え続けると予想しており、日本公証人連合会では、遺言を確実に保管するために証書のデジタルデータ化にも取り組んでいくそうです。なお、気になる遺言公正証書の作成手数料ですが、これは遺産額で決まり1000万~3000万円の場合は相続人1人あたり2万3000円だそうです。

 

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.23更新

保険約款には、示談代行とは別に保険会社の協力援助義務が定められていることがあります。モデル約款にも「被保険者が対人事故または対物事故に関わる損害賠償を受けた場合には、当会社は、被保険者の負担する法律上の損害賠償責任を確定するため、当会社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、被保険者の行う折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続きについて協力または援助を行います。」と規定されています。
保険会社は、かかる協力援助義務にしたがって①事故受付時における当面の措置についての助言、指導を行ったり、②示談書の書き方や保険金請求書類の作成取付けについての指導、援助を行ったり、③被保険者の行う示談交渉についての相談・助言を行ったり、④必要に応じて被害者との折衝または調停への立ち会いを行ったり、⑤調停または訴訟の手続きに関する指導助言を行ったりします。
このように保険会社の協力援助義務は、あくまでも解決のための助言をいうのであり、保険会社が直接示談交渉を行うことはありません。

 

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.22更新

保険会社の示談代行制度はいいことばかりかというと必ずしもそうとは限りません。まず、被害者側の立場に立った場合、交通事故を起こした加害者本人ではなく、保険会社が交渉に乗り出してくるので、被害者にとっては加害者不在のままで解決を図ろうとしているととられて被害感情が高まるというケースもよくあります。「加害者の謝罪の言葉が一言でも欲しいのにお金で解決しようとしている。」と思われるのです。また、保険会社が迅速な賠償を追求するあまり、いわゆるビジネス的な処理に終始してしまい、被害者の被害者感情が置き去りにされることがあってはなりません。このように、交通事故の被害者は、交通事故という不慮の事故によって平穏な日常生活に重大な支障を来された生身の人間です。ですから、交通事故問題の解決の本質は被害者の被害感情を慰撫することにあり(もっとも、時間を事故前の状態に巻き戻すことはできないので、これはとても困難な問題です。)、賠償額の提示はその手段に過ぎないということを常に忘れないようにしなければなりません。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.22更新

保険会社の示談代行制度があることにより、交通事故当事者間の示談交渉に介入して不当な利益を取得しようとするいわゆる「示談屋(事件屋)」が排除されるようになりました。それだけでなく、保険会社の示談代行制度があることにより、日常的に発生する交通事故の被害者の迅速な救済が図られるようになりました。さらに、交通事故の加害者と被害者という紛争当事者以外の第三者である保険会社が示談折衝することにより感情的にならず冷静な折衝が可能となりました。
ところで、現在の民事交通賠償の解決は、自動車保険による資力担保抜きにして語ることができません。特に自賠責保険による全国水準の均質的保障に基礎を置き、任意保険がその上乗せ保険としての機能を果たしている現代の自動車保険システムにおいては、「資力のある任意保険会社自らが行う示談解決」という看板があることで、決まった賠償額を一括で確実に履行してもらえるという多大な安心感を被害者側に持ってもらうことができます。これらの点も保険会社の示談代行制度のメリットといえるでしょう。

 

 

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2015.06.20更新

任意保険には、交通事故時に保険会社に示談代行してもらえる制度がついています。これは、被害者やその相続人から損害賠償請求を受けた被保険者らの加害者に代わって加入保険会社自らが解決する制度です。解決の手法としては、被害者との交渉や示談、調停や訴訟のための手続(弁護士の選任も含む)を行うことまで含みます。ただ、保険会社は、被保険者(加害者)に対して支払責任を負う限度において示談代行をしますので,被保険者(加害者)に対して支払責任を負わない場合には示談代行しません。すなわち、①被保険者に責任のない場合(無責事故)②保険約款の免責事由に該当し、保険会社に保険金支払い義務がない場合(免責事故)③被保険者の負担する賠償額が自賠責保険等の支払額の範囲内の場合(自賠内事故)については、保険会社に支払責任がないので示談代行しません。なお、任意保険によってはそもそも示談代行付きでないものもありますので、任意保険加入時には確認することが必要です。

 

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2015.06.20更新

高齢化社会のなかで成年後見制度が広く浸透し、市民の方でも成年後見人に就任されている方がいらっしゃると思います。この前、依頼者の人と一緒に家庭裁判所で成年後見人DVDを見てきました。30分くらいのDVDでしたが、その中で、「成年後見人としての職務はずっと続き、成年後見人は簡単に辞任することができません。」というメッセージが繰り返されていました。では、ご本人さんが死亡した後も成年後見人の地位は続くのでしょうか。実は、成年被後見人の死亡が成年後見人の地位の終了をもたらすかどうかについて、直接規定した条文はありません(なお、民法111条1項は、本人の死亡により代理権が消滅すると規定するのみです。)。これについて、民法858条は、「成年後見人は,成年被後見人の生活、療養看護、及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては,成年被後見人の意思を尊重し,かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と規定しています。ここで「成年被後見人の生活」とあるので、成年被後見人の死亡が後見事務の終了をもたらす事由といえそうです。なお、「相続は死亡によって開始する」(民法882条)ため、成年被後見人の死亡によって成年後見人が管理していた財産は相続財産となります。そのため、成年被後見人が死亡後に成年後見人がその財産(相続財産)を管理する根拠となる規定の創設を日弁連が要請しているところです。

 

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2015.06.18更新

株式会社の取締役会が取締役会の決議を経ずに「多額の借財」をした場合,当該取引(借財)はどのようになるのでしょうか。これについて判例は,以下のように判断しています。―以下引用―【株式会社の一定業務執行に関する内部的意思決定をする権限が取締役会に属する場合には、代表取締役は、取締役会の決議に従つて、株式会社を代表して右業務執行に関する法律行為をすることを要する。しかし、代表取締役は、株式会社の業務に関し一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する点にかんがみれば、代表取締役が、取締役会の決議を経てすることを要する対外的な個々的取引行為を、右決議を経ないでした場合でも、右取引行為は、内部的意思決定を欠くに止まるから、原則として有効であつて、ただ、相手方が右決議を経ていないことを知りまたは知り得べかりしときに限つて、無効である、と解するのが相当である。(最三昭和40.9.22民集19巻6号1656頁)】
このように,(多額の借財に取締役会の決議が必要な会社において,)株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ずに,多額の借財をした場合には,原則として当該借入自体は有効ですが,取引の相手方(貸付する方)が決議を経ていないことを知り,又は知りえた場合であれば当該借入自体は無効になるというのが判例の考え方です。このような判例の考え方に立てば,融資先から議事録等の資料の交付を受けることで,この悪意・過失がないことの裏付けとなるということになるでしょう。

 

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2015.06.17更新

株式会社においては,「多額の借財」は取締役会の権限とされており,「代表取締役に委任することができない」とされています(会社法362条4項2号)。つまり,代表取締役が取締役会にかけずに多額の借財をすることを決定しても無権限で行ったことになります。もっとも,会社法においては,株式会社の機関を自由に設計できます。そこで,株式会社といっても,そもそも取締役会が設置がされていない株式会社もあります。まず,委員会設置会社では,取締役会は「多額の借財」について執行役への委任することが可能です(会社法416条4項)。また,取締役設置会社においても,特別取締役による決議が許容されています(会社法373条)。
以上のとおり,現行会社法のもとでは様々の形態の機関をもった株式会社が存在するため,株式会社に多額の貸し付けをする側(金融機関)も貸付先の株式会社の機関がどのようになっているかを商業登記や会社定款によって確認する必要があります。そして,会社の機関がどのようになっているのか等に応じて無権限での借入でないことを裏付ける資料の提出(取締役会議事録,特別取締役会議事録等)を求めることになります。

 

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2015.06.16更新

アパートの大家さんが「今度の契約の満期でアパートを貸す契約は更新しないので立ち退いてほしい。」と言っています。契約が満期をむかえれば契約更新できず,アパートは立ち退く必要があるのでしょうか。この点,借地借家法という法律で賃借人が住み続ける権利を保護しており,正当な理由がなければ解約の申し入れはできないとされています(借地借家法28条)。そして,「正当な理由」については,賃借人賃貸人が建物を使用を必要とする事情のほか,(耐久年数を大幅に超えて老朽化して朽ち果ててきたので早急な建て替えが必要であるなどの)①建物の現況に関する事情,②(従前借主側は賃料の滞納があった等の)建物賃貸借に関する従前の経過,③(立退料の有無やその額などの)財産上の給付についての事情等を考慮し,賃貸人及び賃借人双方の利害得失を中心にして判断されるのです。

 

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2015.06.15更新

通信販売で痩せる健康食品などを買った場合,「ぜんぜん効果がない。」との理由で契約をなかったことにできないでしょうか。訪問販売などで勧誘されて購入するような場合は,契約内容を十分に理解しないで契約してしまうことがあり,この場合,一定の期間に契約を解除できる制度(クーリング・オフ)があります。しかし,カタログやチラシ,テレビやホームページなどの広告を見て,電話や郵便の方法で商品を購入するような通信販売については,法律上のクーリング・オフの制度はありません。これは,事前に広告を見て購入するような場合は,自分の意思で判断した上で商品を購入していると考えられるからです。もちろん,商品が広告の内容と違ったり,欠陥品であって契約目的を達成できないような場合は,契約を解除することもできますが,買ってみて不要だったり,思うような効果がなかったような理由で契約の解除をすることはできないのです。ただし,通信販売業者には,返品特約(返品の可否,返品期間等の条件,返品の送料負担の有無)に関する事項を広告に記載することが義務づけられています(特定商取引に関する法律11条,消費者庁経済産業省通達「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」)。返品はできないと広告に明示されていれば,返品はできないことになりますが,もしも,通販業者がこの義務を守らず,返品特約を明示していなかった場合には,商品の引渡しを受けた日から起算して8日以内であれば購入者が撤回・解除をして返品(返送費用は購入者負担)できます(特定商取引に関する法律15条の2)。このような返品特約等による解除ができない場合でも,商品を開封していない場合や使っていない場合,返品について交渉する余地はあります。ただし,業者が任意に応じるかどうかの問題ですので,返送費用に加えてキャンセル料を払うなどのかなり譲歩した条件を提示する必要があるかもしれません。

 

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