2015.06.25更新

公証人が作成する公正証書遺言が遺言をした本人の認知症などを理由として無効になることってあるのでしょうか。民法は、遺言者の能力について「15歳に達した者は、遺言をすることができる」と規定し(民法960条)、15歳に達した者はだれでも、どんな状態でも、遺言をすることができるようにも思えます。しかし、遺言をすることによって財産権の移転等重大な結果をもたらしますので、やはり相応の能力が必要と解されています。そして、その能力としては、遺言の内容及び当該遺言に基づく法的結果を弁識・判断するに足りる能力であるとされています。ただ、通常、公正証書遺言の内容は比較的単純なものであるから、その作成には契約などの際に必要な高度の能力までは要しない考えられています。前にも触れましたが、日本公証人連合会は、判断能力を確認する公証人研修などを増やして対応しているといいますが、公証人は医者ではないので、その人が認知症に罹っているかどうか、仮に罹っていることが判明したとしても遺言能力を有しているかどうかについて必ずしも判別できるとは限りません。そこで、後日、公正証書遺言が無効であるとして多数の裁判が提起されることになるのです。そして、遺言無効確認裁判提起時においては、遺言をした本人は他界していますので、作成時において遺言者が不可解な言動をしていなかったか、他人とスムーズに意思疎通していたかなどを少ない資料から推測し、遺言能力があったかどうかを判断することになるのです。

 

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投稿者: 今村法律事務所

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